借り物人生
オーストラリアはデカイ。寮から最寄のスーパーマーケットまで往復で徒歩30分。Randwickにある中級以上のまともなレストランは50分。最寄のDVDレンタル屋は40分。しかもこれらの店は全て別方向にあるので、「ワインを飲みつつDVDを見よう!」なんて気分の日には、延々2時間以上も歩き回らなければならない。車も自転車も持っていない留学生達は、ひたすら毎日小一時間も歩き回っているようである。
そんなこんなで「オーストラリアって、車ないと何もできない国だよね」なんて食事時に愚痴っていたら、なんと友人のジョンが彼のマウンテンバイクのスペアキーを差し出し、「自由に使っていいよ」とのこと。表面上「ホントにいいの?」なんて日本人らしく控えめにスペアキーを受け取ったものの、一年間思いっきり彼のマウンテンバイクを使いまくらせてもらった。ありがとうジョン。
しかし一度便利な物を手に入れると、さらに欲が出るのが人間。「やっぱり車の方が速いし、荷物も載せられるしなぁ」なんて愚痴っていたら、今度はブラットとドイツ人トムが彼らの車を自由に使ってよいと申し出てくれた(留学生でも欧米系は車を持っている場合が多い)。またまた例に漏れず、彼らの車を思う存分乗り回させて頂いた。ありがとう。
この寮で現地学生のグループに入って良かったなと感じることは沢山ある。既に述べたように、パーティーや外食に頻繁に誘ってもらえるのもメリットの一つではある。しかし、私が密かに楽しんでいたのが、彼らの乗り物を借りることである。私は奨学金も貰っていたわけで、別にケチっているわけではないのだが、やはりマウンテンバイクや車は買っても帰国時の処分に困ってしまう。結局借りるしか手段がないわけで、比較的裕福な現地出身の友人が多かったのは運が良かったと思う。彼らと別れた日には日本からのプレゼントを渡しまくって報いたつもりだが、こんな私を暖かく迎えてくれた彼らには感謝の念が絶えない。
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