交換留学への道
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競争に踊らされる日本人

欧米社会は、何でも「勝ち組」と「負け組」に色分けするのが大好きだ。例えば寮でも、学期末になると「最もカッコいい奴」「最もいい体してる奴」などを投票して決めるのが恒例だ。それだけならまだ良いが、「最もダサい奴」など悪い賞まで用意されているのには驚かされる。日本では考えられないこうした日常のイベントにも、個人主義で競争を良しとする欧米人と、横並び主義で競争を好まない日本人との違いが明確に表れる。

大学のランク付けに対する、日本人と欧米人の反応の違いも興味深い。欧米では、学校のランク付けが公然と行われ、社会からも歓迎されている。例えばオーストラリアでは、全大学、全学部の入学基準点が新聞に掲載されるもんだから、トップ大学からビリまで一目瞭然だ。イギリスでは、大学だけでなく小学校まで全学校がランク付けされている。欧米では、競争が促進され、教育の質が向上するとの観点から、学校のランク付けを歓迎する傾向が強い。偏差値批判に代表されるように、学校のランク付けに拒絶反応を示す日本人とは好対照だ。

では、そんな熾烈な競争社会に生きる欧米人が、さぞストレスを感じているのだろうかと思えば、実はそんなことはない。それなりに名の通った大学を出て、程々の給料を貰えば満足で、そもそも他人を押しのけてまで競争に勝とうとする人は少ない。私が滞在した研究室もかなーり和気藹々としていて、ピリピリ感たっぷりの慶應の研究室から来た私は拍子抜けしてしまった。競争的要素が少なく、年功序列的に運用されがちな日本の組織よりも、完全能力主義の欧米の組織の方が、むしろストレスが少ないのは意外な発見であった。

厳しい競争社会に生きているにも関わらず、欧米人が競争にストレスを感じない理由は、徹底した個人主義にある。彼らにとって、楽しい仲間達と充実した私生活を送ることが大切であって、そもそも自分の社会的地位や順位なんて気にしないのだ。それに対して日本人は、受験にしろ就職にしろ、競争事には何でも全員で参加し、自分のランクに一喜一憂している。その結果、ストレスがたまるからと言って、偏差値などランク付けが非難の的となっているが、本質的な問題は、むしろ自分のランクを気にする側にある。ランク付けがストレスの原因なのではなく、競争に踊らされている自分自身がストレスを作っているのだ。ハッピーな私生活を持って、他人と比較しなくても自分の価値を見出せるようになれば、自然と競争にストレスを抱くことも無くなるはずである。