留学資金をどう移動するか
留学先へ生活費をどう持っていくべきだろうか。基本的には、レートが一番良い決済手段を探して、滞在費の大部分を占める寮費をその決済手段で落とすべき。リスクヘッジのために複数の決済手段を組み合わせることも基本だ。
慶應カード
多くの国で、クレジットカードのレートが最も仲値に近く、支払い時にコミッションが取られず、安全性が高い決済手段だ。滞在費の大部分は住居費であるはずで、寮費をカードで落とせれば、留学先へ持っていく資金が大幅に減る。そもそも、ホテルのデポジットや航空券の支払いなど、クレジットカードがなければ生活できない。
蛇足だが、持つなら慶應カードにしよう。単にカードを使うだけで、販売店が支払うコミッションが回りまわって自分達の奨学金になるからだ。交換留学に行く学生なら、奨学金を貰った人も多いはずだ。貰った分位は、何らかの形で返そう。日本では愛校心を「ひけらかし」と批判される傾向があるが、欧米の一流大学の学生は皆母校のジャンパーなどをこぞって着て愛校心を示すもので、一流の国際人になりたいなら、それなりに愛校心を持つことも必要だ。
慶應カードで保険代を大幅節約
慶應カードに付帯する海外旅行保険は、実は延長可能だ。オーストラリアの場合、Medibankに強制的に加入させられるから、医療保険を外せばわずか3万円弱で延長できてしまう。別途フルカバーの海外旅行保険を契約するより、7万円程度の大幅な節約になる。(*1) |
慶應カード(慶應学術事業会)
トラベラーズチェック
日本で外貨現金に換金するよりもトラベラーズチェックの方がレートが良く、安全性が高い。現地口座の開設前にも多少の現金を持つ必要があるので、振り込みで資金移動するとしても結局はTCも持っていくことになろう。留学資金程度なら振り込みでも大して得しないので、ならば全額TCで移動した方が手間と時間の節約にはなる。ただし、額が大きくなると、サインが面倒という欠点もある。
外貨預金
かつて、外貨預金は儲からないと言われていた。銀行の為替コミッションが高く、引き出しの自由度が低かった(かつては外貨での引き出しもできず、タイミング良く解約できなかった)ことが主な理由だが、それもインターネットバンキングの普及で、状況は変わってきている。特に、ソニー銀行の外貨預金の外貨引き出しサービスは画期的だった。これにより、円安の時は円に換金し、円高の時は外貨で引き出すことにより、リスクヘッジしながら高金利で運用できるようになった。
過去10年以上、外貨の方がずっと利回りが良い状況が続いているから、外貨で使う見込みがある資金は外貨で運用するのが賢い。これは留学資金も然りで、仮にUSD
5000程度であっても、一年間しっかり運営すれば、USD 100 (利回り2%の前提)程度は儲かるのだから意外と馬鹿にならい。だから、現地に着いたらすぐに銀行口座を開き、必要最小限を決済口座に残し、残りは積極的に運用すべきだ。
そして交換留学から10年を経た今、僕は年に20回程度、海外出張に出かける立場になった。日常の出費のかなりが外貨ベースというライフスタイルなので、金融資産も過半数を外貨建てにしている。債権やREIT中心の保守的な運用だが、年利5%から10%程度の運用実績で推移しているので、毎年百万円以上の不労収入が生まれていることになる。僕にとって、留学先で外貨運用を始めたの資産運用を本格的にやりだしたきっかけだった。そこで培ったスキルが、今では仕事でも事業投資先の資産管理にも活用されている。プロフェッショナルとして、手堅く資産運用するスキルも必要であって、留学はその良いきっかけになるだろう。
*1: 慶應カードの付帯保険(保険会社:三井住友海上)を7ヶ月分延長した場合と、医療費を含むフルカバーの保険を10ヶ月契約した場合の差額。2004年に契約時の価格を元に算出。
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