Newcastle(ニューカッスル)
- 都会より 少し田舎が心地良い
僕は、都会からやや離れた、ちょっとした田舎町が大好きだ。イギリスならLondonよりもBrightonが、アメリカならNew
YorkよりPortlandが好きだ。そしてオーストラリアなら、SydneyよりもNewcastle*1が良い。
なぜなら、適度な都会さを保ちつつ、古き良きオーストラリアの雰囲気が残っているからだ。Woolworth(豪州資本のスーパー)のレジの兄ちゃんは、Newcastleではまだ珍しいアジア系の僕を見て、「どこから来たの?」なんて優しく声をかけてくれる。都会では無くなってしまった温かさがまだ残っていながら、それなりに洒落たレストランなんかもあるので、Newcastleに仕事がある時は日帰りにはせず*2、積極的に宿を取ることにしている。
ところで、なぜ僕が日本からわざわざ田舎町のNewcastleに仕事しに来るのかと言えば、Newcaslteが日本向け石炭の一大輸出港だからだ。背後に控えるHunter地区の炭鉱や、輸出港の運営会社であるPWCS社には日本企業も出資しており、日本との経済的繋がりは意外にも強いのである。そんな炭鉱の町、Newcastleは頻繁に映画の舞台にもなっている。ここでは、Newcastleを舞台にした2つの映画を紹介したい。
Newcastle (邦題:ブルー・ブルー・ブルー)
仲間と日々サーフィンに明け暮れる、17歳のジェシー(ラクラン・ブキャナン)。父のような港湾労働者にはなりたくないと、サーフコンテストで優勝してNewcastleを出たいと夢見るジェシーの青春映画だ。
どうもこの映画のウリはイケメン君達が露出しまくるところにあるようで(監督がゲイという背景もある)、新聞では酷評されていたけれど、フツーのオージーの日常を学ぶには最適だ。因みに、時折背景に無数の石炭輸送船が映っているのだけれども、これはNewcastle港の処理能力増強を上回るペースで石炭の増産が進んだため。そんな大量の停泊船を眺めていると、無邪気にサーフィンに明け暮れる若者達のブルーカラーとしての将来を暗示しているようにも映る。
Bootmen (邦題:タップ・ドッグス)
Newcastle出身のタップダンスグループ、タップ・ドッグスを描いた実話ベースの映画。タップダンサーを目指しつつ鉄工所で働くショーンが、鉄工所の閉鎖決定を期に新たなステージにチャレンジする。
モデルとなった鉄工所は、BHPが長年Newcastleで運営していた鉄工所で*3、実際に1999年に閉鎖されている。製造業が急速にオフショアされていくという、オーストラリアの産業構造の変移の一端を学べる映画でもある。
*1:Newcastle:日本語ではニューキャッスルと表記されるのが通例で、現地の日本人駐在員もニューキャッスルと発音することが多い。ただし、英語の発音はニューカッスルの方が近い。
*2:NewcastleはSydneyから北に約160kmに位置し、ミーティング程度の仕事ならば、Sydneyに宿を取って日帰りするのが普通。
*3: BHPの鉄鋼部門は2002年にスピンオフされ、現社名はBlueScope Steelである。
|