留学を成功させるために
― 交換は語学研修ではない
「英語力を磨きたい」という理由で留学を志す人にしばしば出会う。「頑張れ」と励ましてあげたい気持ちもあるが、現実の留学はそんなに甘くない。友達作りに十分な語学力と現地文化の知識を予め養わなければ、現実的には留学を成功させるのは困難だろう。例えば語学力がTOEIC900、TOEFL
CBT 250を下回っているようならば、焦る気持ちは抑えて、日本でじっくり準備した方がよいだろう。
何故かと言うと、相当な努力と語学力がなければ、日本人が現地学生のグループに混ぜてもらうのは難しいからだ。例えば現地に10年以上住んでいるアジア系移民達ですら、キャンパスで所謂オージーと一緒にいる姿をほとんど見かけない。それだけ文化や語学の壁が高いのである。ただ、オージーが閉鎖的というわけではなく、外国人を歓迎はしないものの、拒みもしないというのが彼らの本音である。結局、外国人と現地人との壁を乗り越える鍵は、いかに自分が高い語学力と強い意志を持てるかにかかっている。
特に欧米では、初めの1・2週間で寮でもクラスでもグループが形成される。だからこそ、初めのグループ作りで上手に現地の学生グループに溶け込んでいくことが大切だ。そこで僕は、仲間に入れてもらいたいグループの学生の名前は徹底的に覚え、毎日大きな声で挨拶した。彼らの姿を見つけたら、すかさず肩を叩き、一生懸命話しかけ、沢山笑って、仲間に入れてもらいたい強い意思を伝えた。努力すれば受け入れてくれるようで、現地学生のグループに何とか混ぜてもらうことに成功したが、相当な努力を要するし、留学前から高度な語学力を有していることが前提になると認識しておくと良い。留学中に語学を磨こうという考えでは、友達作りのタイミングを逃すことになるだろう。
結局、語学ができれば必ず留学が成功するとは限らないが、少なくとも語学力は留学成功の必要条件だ。従って語学を磨くのは日本ですべき事であり、日本でできる事であって、留学の目的にすべきでない。焦ったり背伸びして無理な留学をするのではなく、映画を字幕無しで理解できる程度まで日本で語学を磨くべき。英検1級に満たないレベルで留学しても、どうせ留学生同士で固まる羽目になり、留学の意義が半減してしまう。しっかり準備することで、現地の生活を楽しむことができ、そして結果として掛け替えのない思い出を得ることができるだろう。
語学研修を交換留学の目的にすべきでない
語学習得は日本ですべきだし日本でできることである
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